ノーベル賞受賞者らによる緊急声明

母校の東大理学部小柴ホールで、緊急討論会が開かれ、
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/event/debate.html

以下の声明が出ました。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info.html?id=2009


声明文(ノーベル賞フィールズ賞受賞者による事業仕分けに対する緊急声明と科学技術予算をめぐる緊急討論会)

学術および科学技術に関する「事業仕分け」によって現在進行中の科学技術政策決定手順について深く憂慮するノーベル賞受賞者フィールズ賞受賞者をはじめとするわれわれ研究者が急きょ集い、討論した結果、以下のような声明を発表することに決した。


声 明

 資源のない我が国が未来を持つためには、「科学技術創造立国」と「知的存在感ある国」こそが目指すべき目標でなければならない。この目標を実現するために、苦しい財政事情の中でも、学術と科学技術に対して、科学研究費補助金を始め、それなりの配慮がなされてきた。このことを私たちは、研究者に対する国民の信頼と負託として受け止め、それに応えるべく日夜研究に打ち込んでいる。
学術と科学技術は、知的創造活動であり、その創造の源泉は人にある。優秀な人材を絶え間なく研究の世界に吸引し、育てながら、着実に「知」を蓄積し続けることが、「科学技術創造立国」にとって不可欠なのである。この積み上げの継続が一旦中断されると、人材が枯渇し、次なる発展を担うべき者がいないという《取り返しのつかない》事態に陥る。
現在進行中の科学技術および学術に関する「事業仕分け」と称される作業は、対象諸事業の評価において大いに問題があるばかりではなく、若者を我が国の学術・科学技術の世界から遠ざけ、あるいは海外流出を惹き起こすという深刻な結果をもたらすものであり、「科学技術創造立国」とは逆の方向を向いたものである。

 学術と科学技術に対する予算の編成にあたっては、このような「事業仕分け」の結論をそのまま反映させるのではなく、学術と科学技術の専門家の意見を取り入れ、将来に禍根を残すことのないよう、大学や研究機関運営の基盤的経費や研究開発費等に関する一層の配慮を強く望むものである。

                平成21年11月25日


                  署名人一同(名簿は別紙)

    • 東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室--

討論会の内容はネット中継されており、私も全部聞きましたが、よい内容でした。
この声明内容に全面的に賛同し、以下のweb署名に協力させていただきました。
http://spreadsheets.google.com/viewform?formkey=dEhoSnhEQUZtMnNpd0tJQkFXUm9CZFE6MA


質疑応答にて、印象に残った場面。
記者「科学技術の大切さというのは、大概の人はわかっていると思います。でも、国民の素朴な疑問として、たとえばスパコンで、なんでこんなにお金がかかるのかというような疑問があると思うんです。そういう国民の疑問に答えて、理解してもらうには、どうしていけばいいと思われますか。」
利根川進氏「一つは、マスコミがもっとしっかりしてくれるということなんですよ」(会場笑、拍手)
たぶんこれはテレビでは流れないだろうな〜。